夏越の祓（なごしのはらえ）とは？茅の輪くぐりの意味と風習をやさしく解説

夏越の祓とは？茅の輪くぐりの由来や作法、水無月の意味まで。半年の穢れを祓う伝統行事をわかりやすく解説します。

夏越の祓とは？──半年分の穢れを祓う神事

「夏越の祓（なごしのはらえ）」は、毎年6月30日に全国の神社で行われる日本の伝統行事です。

新年から半年間の罪や穢（けが）れを祓い、残りの半年を清らかに過ごすための神事であり、年末の「年越の祓」と対をなすものです。

この神事の中心的な儀式が「茅の輪（ちのわ）くぐり」です。参拝者は茅（ちがや）という植物で作られた大きな輪をくぐりながら、無病息災や厄除けを祈願します。

茅の輪くぐりの起源は、**日本神話に登場する蘇民将来（そみんしょうらい）**の伝説にさかのぼります。

旅の途中で宿を求めた神・**素戔嗚尊（すさのおのみこと）**を、貧しいながらももてなした蘇民将来に対し、神は「この茅の輪を身につければ、子孫は疫病から守られる」と教えたといわれています。

この言い伝えが現在の茅の輪くぐりのルーツであり、疫病退散や健康祈願の象徴として日本各地に広まりました。

神社での茅の輪くぐりは、決まった順序で輪をくぐるのが基本です。

一般的な作法は次の通りです：

このように**「8の字」を描くように3回くぐる**ことで、心身の穢れを祓うとされています。

唱え詞（となえことば）を唱える神社もあり、代表的なものに次の和歌があります：

水無月の夏越の祓する人は

千歳の命延ぶというなり

これは「夏越の祓をする人は、千年もの寿命を授かる」といった意味で、古来から伝えられている言葉です。

京都など一部地域では、夏越の祓にちなんで**「水無月（みなづき）」という和菓子**を食べる習慣があります。

三角形のういろうに小豆を乗せたもので、小豆は邪気払いの意味があるとされ、無病息災を願う食べ物として親しまれています。

この時期、和菓子店では季節の縁起物として人気があり、お供え物としても用いられます。

現代でも、夏越の祓は多くの神社で行われており、茅の輪を設置して自由にくぐれるようにしているところもあります。

家族で行って願いごとをしたり、半年を振り返る機会としてもおすすめです。

また、感染症の影響で心身の健康に関心が高まっている昨今、**「疫病退散」「心の浄化」**という意味でも、夏越の祓の伝統は再注目されています。

子どもにとっても「年の半分が終わる」という感覚を教える良いきっかけになります。

夏越の祓は、神道の精神が息づく日本らしい季節の節目。

新年からの半年を見直し、残る半年を健やかに過ごすための「心と体のリセット行事」といえるでしょう。

近くの神社に立ち寄って茅の輪をくぐってみる。

それだけでも、気持ちがすっきりし、新たな季節を迎える準備が整うはずです。